宮澤秀巖

語録集「書を学ばんとする時の心得」

語録集

故宮澤秀巖先生が遺したお弟子様への師事語録の一部。
美術品、芸術品の定義。書の次元の完成。現代日本において失われた教養への警鐘など、
秀巖先生の書に対する探究・究明の姿勢が窺えます。

「書を学ばんとする時の心得」

先ず平常心であること。雑念を捨てて指導者の言を良く聞き理解し実行する。

座し方
足の親指を軽く重ね、膝は拳一つ以上離して座す。机との間は平手の厚さ。

筆の持ち方
争力法、撥鐙法、扌族管法、を用いる。篆・隷は争力法、他は撥鐙法を常とする。写経や細字仮名の場合、単鉤を用いる人も有るが側筆になり易い。すべて双鉤が宜しい。他に二・三の用法有るもあまり考える必要はない。(大字創作の時のみ必要とするもの。机上外創作はすべて嫉管法を用いる。)

構え方
懸腕、堤腕、枕腕、肘腕、回腕、之は書かんとする文字及び書体に據り異なる。

書き方
推角砂。

筆順
上から下。左から右。希に異なるものも有る。

硯に水を入れる量
普通に墨を磨って水が循環する程度。

墨の磨り方
手前に倒し圧力1・5キロから2キロとする。早さ一秒に三回位、時々表裏交互。

印矩
T字形が宜しい。

印泥
使用に先き立ち必ず練る事。

泥の付け方
印々泥

色(実態)及び空(虚無)の頓悟
相譲相避、分間布白の理解
基本点画の徹底理解と練習
筆法、命毛の位置等に関する理解
偏、旁、冠、沓、繞の構成法の理解
圧、速の理解(墨の粗密度に據る)
墨色の理解
文房四宝の究明
書の返遷追求
学不可以己の精神
以上

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